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退院時カンファレンス (食事が摂れない方)
退院準備(食事が摂れない) ①
介護の学校へようこそ
秋から冬へ。風邪や食中毒。介護従事者の私たちにとって、
気が抜けない季節の到来です。
私たちにも言える事ですが、季節の変わり目は様々な体調不良が発生します。
気圧や気候の変化に伴い、心臓の働きに変化が出ることがあります。
その結果、身体をめぐる血液の循環が阻害され浮腫みや倦怠感、気力の低下や臓器機能の低下、
様々な症状として現れるのです。
夏と同様、この季節の変わり目から冬の季節にある程度順応するまでの期間。
高齢者ケアには「体調変化を見逃さない」事がとても大切であると言えるでしょう。
本日は利用者のA様の退院時カンファレンスに参加してきました。
この利用者A様も、季節の変わり目をきっかけとし「誤嚥性肺炎」により入院された方になります。
カンファレンスは、介護保険新規申請や区分変更申請。サービス変更や顕著な体調変化時等。
介護支援専門員の必須業務として開催されるものですが、場合により今回のA様のように退院時に入院中の主治医が中心として
退院後の介護サービスサポート業者を集め、病院での入院の様子や退院後の支援方法を協議する為の大切な場となります。
A様についての協議内容は「食事が摂れないA様を在宅にてどのように支援をするのか」とのテーマでした。
「食事が摂れない状況とは」
先ずはどのような理由により食事が摂れない状況であるのか、その理由が重要となります。
①誤嚥や口腔内の異常など、疾患により食事がとれない。
②痛み等により、食事をとれる状況でないこと。
③認知症状等の影響により食事の認識ができない。
④本人の意思
様々な理由が存在しますが、①の場合は食道・胃・腸など様々な検査が必要となるケースもあります。
原因の特定は治療の為、また適切なケアを検討する為にも重要ではありますが検査内容によっては、
利用者への大きな負担となる事も十分に理解しましょう。
A様の場合は、主治医より説明がありました。
入院のきっかけであった「誤嚥性肺炎」は抗生物質の投与により解消し、レントゲン撮影にて確認された
当初の影はすっかり消え、酸素濃度も安定。現在ではすっかり完治したとの事。
長期入院によりADLの低下が顕著となっており、認知機能の低下もみられる。
食事の認識や食べる動作には問題はないが、反射機能の衰えから誤嚥のリスクは高い。
急性期病院での治療は終了しているので、いつでも退院をしてもかまわない状況である。との説明でした。
①誤嚥や口腔内の異常など、疾患により食事がとれない。
・・・水分にはトロミが必要であり、食事形態の変更が必要。
②痛み等により、食事をとれる状況でないこと。
・・・腰痛等の訴えはなし。痛みの発生はみられず。
③認知症状等の影響により食事の認識ができない。
・・・嚥下の際の反射機能の低下はあるものの、食事の認識は可。しかし入院によるせん妄の影響は可能性あり。
④本人の意思
・・・他の要因が消去されても「食事が摂れない状況」が改善されない場合は、本人の意思であるとしか判断できない。
それを含め「老衰」としか言いようがない。
これらの説明を家族と十分に協議した結果、
①在宅(サービス付き高齢者住宅)への復帰→ここが私の勤務する職場
②有料老人ホーム
③療養型病床
からどのような支援を希望するか・・・との理由にて選択をして頂いたのです。
入院から本日のカンファレンスの間に、数回このようなテーマで家族と私は何度か話し合いをいたしました。
その過程を経て、本日のカンファレンスとなったのです。
①の場合は、
もとの生活の場に戻る事は可能であるが、病院と比較しても医療体制は劣る。
訪問診療や訪問看護サービスの利用は可能ではあるが、「食事が摂れない状況」への対応には限界がある。
②の場合は、
看護師が24時間常駐する施設もある。転居をし新たな環境での生活をするストレスはあるが、
痰の吸引や食事が摂れない状況を補う点滴対応も可能。
③の場合は、
胃ろうを増設された方への対応も勿論可能。
医療対応は可能とはなるが、生活をする場・・・とは言いにくい。入院中の対象者は医療ニーズが高い方が多く
体調不調での対応は可能であるが、急変時の搬送はなし。その入院中の療養型病床での対応のみとなる。
担当医の説明、参加した専門家の意見を踏まえた結果、
家族は①の、私が勤務する「サービス付き高齢者住宅」を選択されたのです。
以降、
②「食事が摂れない状況」について、どのような支援目標をたてるべきなのか?
③介護支援専門員が「食事が摂れない状況」の利用者A様の生活をサポートする為の準備とは?
を報告させていただきます。