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食事が摂れない人のサポート体制

2017年11月20日 00:19


介護の学校へようこそ。

日ごとに寒さが増し来ました。

私は建物の中での勤務となりますので、通勤のみを耐えれば済むはなしなのですが、

訪問サービスの方々は、本当にお疲れ様です。

どうぞ、風邪をひかないようご自愛ください。

 さて食事が摂れない状況となった高齢者に対し、どのような支援が必要となるのでしょうか?


 


この問題については、医療職・家族や本人、支援する介護チームでは意見は異なります。何故ならば、

医療は治療を優先する事が仕事だからです。「食事が摂れなくなった理由」重要であり、

病気によるものであれば治療し完治すれば当然として食事は可能となるはずです。

逆に言えば原因たる病気は完治したにも関わらず「食事が摂れない・・・」との事であれば

それは身体が受け付けない・・・高齢者で言えば「老衰」と言わざるを得ないのが医療の立場です。


 


 


本人や家族はどうか。私の少ない経験でもの申すのも恐縮ですが、

食事が摂れない状況の高齢者は明確に意思を持つこと、意思を他者に伝えるのが難しい状況の人が多いでしょう。

そしてその状況を踏まえ、家族が代弁するのです。

介護にどの程度関与したかにより家族の意見は様々なように思われます。



遠方にて生活する家族。仕事を犠牲にして介護を余儀なくされた家族。

介護職以上に献身的な介護をおこなう家族。

しかし、医療も介護も専門職ではありますが、「選択」はあくまでも本人、家族です。

私たちはその決断に対し、支援を行うわけです。


 

 

では介護支援専門員は、どのようにして決断後のサポート体制を構築し、

支援計画を作成するのでしょうか。退院前の病院にて担当者会議を開催することが望ましいでしょう。

ここで重要な事は、本人・家族が十分な理解のもと「決断」をしたか・・・です。


 

 


私は過去に、今回と同じような状況となった利用者様にかかわった事があります。

この方も同様に食事が摂れなくなってしまった方であり、病院からは「治療はおわったので退院してほしい」

との事でしたが、その家族は状況を十分には理解していませんでした。

病院も介護施設も同様である・・・と思っていたのです。




私が勤務する「サービス付き高齢者向け住宅」は在宅サービスが利用できる建物です。

日常生活の生活支援サービス、安否確認サービス、短時間の身体介護サービス。

介護保険での在宅サービスでサポートする建物です。医療は訪問診療や訪問看護が利用できますが、

ナースコールを押せば看護士がかけつける状況とは事なります。定期の訪問と必要時の相談と緊急対応。

毎日の点滴はできません。




退院するという事は・・・・食事が摂れない状況の高齢者が病院よりも医療体制が劣る

環境で生活する事を意味し、在宅に戻る→死を覚悟する必要がある。との決断なのです。


 

 

退院前の病院で病棟看護師、家族、ケアマネジャー、サービス提供責任者、

訪問看護が集まり先ずは入院時の治療の経過と現在の状況についての説明がありました。

病院の判断は「老衰」。今後は治療よりも苦痛のすくないサポートが必要であるのではとの意見であり、

どうようの症状であれば搬送の受け入れは難しいとの事でした。



 

 

誤解をしないでほしいのですが、病院は治療をする場所です。救急搬送をされるいわゆる急性期病院では、

「食べられない状態」は治療をする対象ではない・・・間違った意見ではありません。

また「介護」とは・・・心身に障害をもつ人に対して、入浴、排せつ、食事などの介護を通じて、

日常生活を援助することと定義されているわけなので、どのような状況の方にたいしても勿論提供は可能です。


 

そしてここが一番大切なのですが、



「家族の決定」をどのようにサポートするか。。。

ここで求められる決断とは、胃ろうの増設やその管理、必要時の点滴が可能となる手術や療養型への転院。

または、苦痛を少しでも少なくしながら最後を迎える事が可能となる在宅を選択するか・・です。

ケアマネジャーは各専門職からの意見を聴取し、家族に理解・選択をしてもらいます。

当然、転院を決断されるのであれば、介護支援専門員としてのサポートは終了となります。




 在宅を選択された場合は、医療体制の構築と「苦痛を少しでも少なくしながら最後を迎える」

を共通の目標とすることです。

「苦痛を少しでも少なくしながら最後を迎える」との意味する事は、

    体調不良時の対応をどこまでするのか?

    食事量低下に伴う、脱水に対し「点滴」を行うのか?

    家族にどのように最後を迎えようとしている本人にかかわて頂くか。

    救急搬送はどのような状況のみ行うべきとするのか。



  

病院での担当医がこのように現状を説明していました。

人間は食べる事が自然であるが、食べられない状況は当然、不自然な状況である。

不自然な状況になるという事は、そうなるべくした理由があるのだが、

理由が見つからない場合は「本人の意思」すなわち「老衰」である。そしてそのような方は、

「枯れるように逝くこと」をおすすめします。

 


 




私たち介護職員はその職種により「高齢者の常識」がきっと異なるはずです。

有料老人ホームや私が勤務する24時間生活をする場所では、在宅生活では実施されない、

血圧測定や検温が毎日実施され、決められた薬をきちんとのみ、

1日3度の食事をきちんと摂る事が重要視される特殊な生活環境です。

 しかし在宅とは逆に、24時間生活する場所であるからこそここに勤務する介護職員は、

利用者様の死にかかわる事が多いのです。


 

 

本来は「枯れる様に逝く」べき状況にある利用者に間違った目標「元気になる」とうちたててしまったばかりに、食事の強制。食べやすいから、誤嚥をしないから・・・との理由でミキサー食を強要されるのです。 ただでさえ「食べられない」状況であるにも関わらず「薬を飲んでください」と言われ、食べられなくなると点滴を強要され、注入された水分に心臓が耐えられなくなり、浮腫みや呼吸苦が発生します。


 

 

ターミナルケア・・・とは、利用者の状況を十分にチームで共有し、

家族も了承・納得のうえ「自然なかたちで逝ける」状況を構築し、

無理をさせないケアを言うのではないでしょうか。



「たんぽぽ先生の看取り事情」


https://www.tampopo-clinic.com/zaitaku/mitori02.html




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