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訪問入浴サービス

 
 
以前私は在宅介護の一つである訪問入浴に従事していました。
利用される方の理由は様々ですが、
自宅のお風呂に誰かの手伝いがあっても困難となった方です。

 

 

ある日ケアマネさんから依頼があり、直ぐにでも入浴サービスを始めて貰えないかと依頼がきました。
その方は末期のガンだったのです。
 
 
ガンと言っても状態は様々です。末期と言われても、食事が出来る人はターミナル?との人も少なくありません。
しかしその方は点滴のみ、口から食事をすることは出来ません。
家族、ケアマネの希望は、残された時間。好きなお風呂に入って欲しい。との依頼でした。
 
 
お風呂は血流が促される、程よい疲労感が得られる、気分転換、清潔を保つなど様々な効果もありますが、
食事がとれないような状況では、体力を奪いすぎないよう短い時間での対応が必要になります。
通常の依頼は週の利用回数を決め定期に訪問するのですが、いつ変化があるかわからないので、希望があれば毎日との依頼。
 
 
サービスは当日に奥さんが本人の体調をみて判断します。「大丈夫」と奥さんが思えば私たち
サービス事業所に連絡がくるとの手はずになっていました。
1回目、2回目は何とか無事に終了。
3回目の訪問を予定していましたが、、突然奥様から連絡があり体調が悪いので予定を中止にしてほしいとの事。
もう体力的にも限界なのかな?と残念な気持ちでしたが、その日の夕方に再度奥様より連絡がありました。
 
 
主人が「お風呂に入りたいと言っています」、これから来られますか?との内容。事情を知っていたので直ぐに訪問。
奥様から「ありあとう」との事場と何やらノートの切れ端のようなものを手渡されました。
 
 
食事も摂れていない、水分も摂れない危険な状態です。勿論主治医、家族、ケアマネ、本人の許可と希望があってのサービス提供。
訪問入浴サービスは3人一組で必ず介護職員2名+看護職員1名です。
「バイタルが不安定なので、短めの入浴でいきましょう」との事で急いで準備をします。
 
 
負担を最小とする為にお湯は浸かる程度の湯量とし、身体や髪の毛は洗いません。
お湯の温かさを実感して頂くのみです。
お湯に浸かると、少し表情が和らぎ「気持ち良いですか?」との職員の問いかけに
小さく頷かれました。
 
 
サービス提供を終了し車中にて先ほどのノートの切れ端を皆で確認しました。
そこには力ない文字が書かれており、「もう一回」と書いてあったのです。
おそらく声も出ない状態のご主人に奥さん聞いたのでしょう。
「何か希望はあるのか?水を飲みたいのか?何かを食べたいのか?」
声が出ない状態を察して、奥さんはご主人に鉛筆を握らし、ノートを差し出したのでしょう。
 
 
翌日担当ケアマネより連絡があり、お風呂の数時間後に自宅で息を引き取られたようです。
そんな最期の希望実現をお手伝いできるサービスなのです。
訪問入浴サービスってすごいですね。