資格に勝るのは?それは考え方を身に付ける事!役立つ情報提供を目指します

高齢者虐待

 

高齢者虐待・・・

 

高齢者が他者から不適切な扱いにより

権利利益を侵害される状態や生命・健康・生活が損なわれるような状態に置かれる事・・・

 

虐待の種類
・身体的虐待
・心理的虐待
・性的虐待
・経済的虐待
・介護・世話の放棄・放任

 

法律の正式名称

高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律

 

法律の成立と施行

2005年(平成17年)11月成立

2006年(平成18年)4月施行

 

法律の目的

  • 高齢者の尊厳の保持を大きな基本理念とする
  • 尊厳の保持を妨げる高齢者虐待の防止が極めて重要
  • そのために必要な措置を定める

 

「養護者」

日常的に世話をしている家族・親族・同居人

「養介護施設従事者等」

老人福祉法・介護保険法に定める養介護施設・事業所の業務に従事する人

 

「養介護施設・事業所」と「従事者等」の範囲

  • 養介護施設(老人福祉法)
  • 老人福祉施設(老健 特養 療養型)
  • 有料老人ホーム

 

養介護施設(介護保険法)

  • 介護老人福祉施設
  • 介護老人保健施設
  • 介護療養型医療施設
  • 地域密着型介護老人福祉施設
  • 地域包括支援センター

 

養介護事業所(老人福祉法)

老人居宅生活支援事業

 

養介護事業所(介護保険法)

  • 居宅サービス事業
  • 地域密着サービス事業
  • 居宅介護支援事業
  • 介護予防サービス事業
  • 地域密着型介護予防サービス事業
  • 介護予防支援事業

 

養介護施設従事者等

「養介護施設」または「養介護事業」の業務に従事する者

 

 

「養介護施設・事業所」の責務

  • 養介護施設従事者への研修の実施
  • 利用者や家族からの苦情処理体制の整備
  • その他の養介護施設従事者による高齢者虐待防止のための措置を講じる

(高齢者虐待防止法第20条)

 

緊急やむを得ない場合とは ・・・

  • 切迫性:利用者本人または他の利用者等の生命又は身体が危険にさらされる可能性が著しく高いこと
  • 非代替性:身体拘束その他の行動制限を行なう以外に代替する治療・看護方法が無いこと
  • 一時性:身体拘束その他の行動制限が一時的なものであること
※上記3点だけではない事に注意

 

病院では・・・

医師の指示や経過記録。看護計画の作成や定期のカンファレンスの開催等。

様々な必要な手順を踏む必要があります。

 

施設では・・・

少人数の職員での判断ではなく、施設全体での専門機関にて検討。そのルールは事前に作成されている事が望ましい。

定期のカンファレンスや記録の作成、同意を得る事は病院同じです。

必要な事は3つの条件に全て当てはまる事であり、身体拘束を中止する為の対策を定期に講じる。その経過記録を残す事です。

 

身体拘束を実施しないが為に発生した事故の責任は?

転倒そのものに対しての責任はないが、サービスを提供する為のアセスメント・サービス内容の不適切さ、

日々のモニタリング内容にリスクへの対応が全く配慮されていない場合はその責任は発生するでしょう。

 

虐待の原因

 

第1位について考えてみましょう。

安易に職員や家族を責める事では解決しません。

何故そのような暴言・暴力に至ってしまうのか?それを考え分析・対策を講じる事が大切なのです。

 

ポイント~不適切な対応と発生原因を考える

不適切なケア

暴言・暴力

発生原因

①本人が必要としているケアと提供するケアの不一致。

②対応を試みるも解決しない、むしろひどい現象が発生する。

③解決しない問題に対し諦めてしまう、慣れてしまう、疑問や罪悪感が麻痺する。

 

対策方法は?

①不一致の原因を特定する。

  • 身体的な疾患による痛みの発生や不安の発生。痒みや便秘等による不快感や空腹感。
  • 発生時間や日常生活での動作等により推測し、チーム全体で検討。
  • 場合により医療機関への相談をする事が必要。

②適切なケアの提供。

  • 職員・家族への対応方法の説明。
  • 知識・対処法を知る事で対応する側が何をすべきかがわかる事で適切な対応が可能となる。
  • 研修やカンファレンス。
  • 事業所開催のケアについての相談会の開催。

③気持ちの維持 介護職員としての自覚の向上。

  • 介助方法・研修等により職員や介助者のスキルを向上させる。
  • 職員・家族との面談や相談。悩みを聞く等により精神的なストレスを軽減する。
  • 休憩時間の確保やショートステイの利用。
  • 同じ悩みを持つ同士が会話ができるような場所に参加する

  介護に終わりはありません。利用者が年齢を重ねる事でADLの低下・認知症の発症により

介護をする側の不安や負担は増していく事でしょう。

経済的な状況や家族構成。職員のスキルや職場の雰囲気。管理者や上司の能力等、介護

かかわる人たちの立場も様々です。

虐待とは高齢者の尊厳を傷つける行為です。そして虐待の判断はとても困難です。

 私たち介護従事者に必要な事は、虐待は何か?その知識を持つべきであり、その判断を下す事ではありません。

 

そのような状況を見たり聞いたりした場合は、「報告をする事です」

 

その小さな対応が大切なのです。同僚・上司。会社の相談窓口。地域包括。市役所。介護保険課。警察。

人として、介護に従事する者としてその責任は重大なのです。