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欲求段階説

 
 
介護サービスを提供する皆さま、マズローとの人物を聞いた事はありますか?
 
アブハム・マズロー
アメリカの心理学者
1908年4月1日ー1970年6月8日
人間の自己実現を研究対象とする「人間性心理学」の最も重要な生みの親とされている。
欲求の5段階説(欲求のピラミッド)を主張したことで知られる。
 
 
 
この人頭が良い人で、人間の欲求をグループ分けしたのです。しかも人の欲求が満たされる為には
達成される順序が必要であると説明したのです。これを介護の現場で当てはめて考えてみましょう。
 
 
 
 
 
①生理的欲求
 
ヘルパーさんは最近元気のないAさんに、気晴らしに買い物でも行きましょうと誘います。
しかしAさんは最近体調が思わしくなく、頻回な尿意に悩んでいます。
「こんなにトイレに行きたいだなんて、何かの病気なのかしら?」
そんな思いをヘルパーさんは知りません。
そう!人は生理的な欲求が満たされないと人は買い物を楽しむ事もできないかもしれません。
 
 
 
②安全の欲求
 
利用者さんAは泌尿器を受診した結果、
頻尿の問題は解決したようです。今日はヘルパーさんとお買い物同行の日ですが、
最近外出を控えてしたせいか、足に思うように力が入りません。
 
スパーまでの距離は横断歩道や踏切もあり、片道7分程度程度。
Aさんはいつ転倒するかひやひやしており、久々の外出を楽しむことはできませんでした。
人は、危険を感じている状況で楽しむことができないかもしれません。
 
 
 
 
③社会的欲求
Aさんは足の状態も向上し、ヘルパーさんとの買い物同行にも慣れてきました。
身体の調子も良い事から、人との交流の機会を設けたいと感じるようになりました。
以前担当ケアマネジャーから聞いた、デイサービスに行って体操やカラオケ、
書道のレクリエーションに参加してようかしらと思うようになったのです。
 
 
 
④自我欲求
Aさんは通所サービスを利用するようになりました。
最初は週1回のデイサービスの利用を楽しみにしていましが、集団で行われるレクリエーションに少し退屈な様子。
もうボール投げとか、童謡をうたったりする事より、書道教室が行われる他の曜日に利用を変更したいと
考えるようになりました。あんな誰でもできるゲームは私には向いていないのよ。
私には書道とかお花とか、そんな事の方があっているの・・・と考えています。
集団の中の一人から自分自身の価値を見出せる場所を求めています。
 
 
 
⑤自己実現の欲求
Aさんは書道教室への参加に満足していますが、今後の自分の生活についても考えるように
なりました。書道だけではなく自分で出来る事は自分でやりたい。
それからのAさんは人に自分にできる事は何か?を考えるようになり人と比較することで
自分を確かめ事はなくなりました。自分らしく生活をしたい、できる事は自分でがんばる・・・
そのように今の自分を考えるようになったのです。
 
 
 
 
 
マズローさんは人間の欲求は①を満たされなければ②には移行しないと言っています。
ですので私たちはAさんの気持ちや心身状態を考慮し、目標を設定し援助を行う必要があるのです。
 
 
 
欲求段階説を考えてみると、Aさんの気持ちの変化は当然であると思うでしょう。
しかし失禁問題を抱えている、転倒への不安が継続している利用者さんは多いでしょう。
おむつを利用する、車いすを利用すると安易な解決方法を提供した結果、生理的な欲求も安全の欲求も
満たされる事なく、社会的な交流を強要されるようなケアプランも多くあります。
 
 
 
 
問題を解決する事は容易ではありませんが、介護サービスを提供する私たちは
利用者さんの希望に耳を傾ける存在でなければなりません。
今1番解決したいこと、逆に言えば「今困っている事はなにか?」
いつも誰かが、1番の困りごとを気にしていくれている。そんな安心感が 欲求の移行のお手伝いにつながるのではないでしょうか?